shantipapa’s blog

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我が家では牛乳の摂取を減らし、冷蔵庫にいれる保存容器をプラスチック製からガラス製に変更しました(衛生仮説と環境汚染からの判断)

仕事の都合で、近々気管支喘息についていろいろ調べ、そして来月に発表しなければならないことになりました。 呼吸器系の構造からアレルギーの発症機序についてはある程度理解しています。 そこで、以前より気になっていた「乳児期の子供を牧場につれていくと、その後の成長過程におけるアレルギー疾患の発病を予防できる」という件について調べて、発表するネタのひとつとして使おうと思いました。

きっかけとなった衛生仮説

さて、この「子供を牧場に連れていくとアレルギーの予防になる」という件ですが、ネタ元は NHKスペシャル 病の起源 第6集 アレルギー~2億年目の免疫異変~ です。

www6.nhk.or.jp

この理論根拠となるものは、「衛生仮説」といい、ごく簡単に言えば、「世の中が清潔になりすぎたことにより、免疫系の働く場所が失われてしまったことが要因」とされるものです。この衛生仮説の最初の元となったのは、David P. Strachan による 「Hay fever, hybiene and household size」いう論文です。

Strachan, D. P. (1989). Hay fever, hygiene, and household size. BMJ : British Medical Journal, 299(6710), 1259.

Strachan は、英国人17,414人を23年間調査し、社会的環境的因子とアレルギーに関する調査を行いました。その結果、アトピー性疾患の増加は、家族構成員数の減少、家庭内設備の改善に伴う清潔度の上昇と関連があると考察しました。

その後、農場で育った子供は、そうでないものに比較して花粉症やアレルギーが少ないという報告がなされました。

BRAUN-FAHRLÄNDER, GASSNER, GRIZE, NEU, SENNHAUSER, VARONIER, et al. (1999). Prevalence of hay fever and allergic sensitization in farmer's children and their peers living in the same rural community. Clinical & Experimental Allergy, 29(1), 28–34.

他にも同様の報告をしている論文はいくつかありますが、共通事項として、農家で育てられた子供たちはエンドトキシンへの暴露が高いということでした。エンドトキシンとはグラム陰性菌細胞壁の構成成分であり、毒性のあるものです。エンドトキシンは強力なTh1サイトカイン誘導物質であることが知られています。

免疫系の司令官であるヘルパーT細胞には、Th1とTh2の2種類があることが知られ、Th1は細胞性免疫、Th2は液性免疫の働きを高めます。そしてTh1とTh2は互いの働きに抑制をかけますので、Th1が優勢となればTh2が劣勢に、Th1が劣勢となればTh2が優勢となります。

f:id:shantipapa:20160605124854p:plain

あまり長くなってもいけないので、まとめると。 世の中は「殺菌・除菌」があまりに行き過ぎ、綺麗になりすぎました。すると対細菌に対して強い「細胞性免疫」があまり必要でなくなってきます。一方で「液性免疫」は抗体を用いた防御機構です。世の中は綺麗になり細菌感染などは少なくなりましたが、スギ花粉や排気ガス、さまざまな化学物質による環境汚染が広がっています。その結果、細胞性免疫が抑えられ、液性免疫が過剰に優位となり、本来無害である物質にさえも過剰に反応するようになった状態がアレルギーであると言えます。

胸腺でT細胞が教育され育てられる乳幼児期に、牧場や農家などの環境に行くことにより、家畜などの糞などに含まれているエンドトキシンを適度に吸い込むことができます。すると日常環境ではなかなか接することの少なくなった細菌毒素への適度な接触をすることができ、Th1が活性化されることにより、Th2優位となりがちな現代環境の免疫バランスを整える働きがあるのではないかというのが、この説によるものです。

ここから導き出せる結論としては。
「あまりに除菌・殺菌と環境を綺麗にしすぎることは、逆に健康を損ねる恐れがある。」
「乳児期より積極的に牧場を含めた自然にふれさせる子育てが良さそうだ。」

ということになりました。

衛生環境のみでは、昭和30年代以降に生まれた世代にアレルギーが多くなった理由が説明できない?

f:id:shantipapa:20160605133102p:plain NHKスペシャル 病の起源 第6集 アレルギー~2億年目の免疫異変~より

世代別のスギ花粉・ダニに対するアレルギー体質の割合を見ると、昭和20年代では40%であるのに対し、昭和30年代以降では70%〜80%と激増しているのがわかります。NHKでは、この変化を環境が衛生的になったことによるものとして、前述の「農家で育てられた子供はアレルギーが少ない」ことを紹介し、エンドトキシン仮説を紹介していました。

ですが、生活環境の変化による衛生仮説のみの結果でしたら、世代別のアレルギー発症の割合は、もっとなだらかな上昇曲線を描かなくてはならないと思います。これだけでは昭和30年代以降にアレルギー体質が激増した理由の説明としては不十分であるような気がいたします。

学校給食における牛乳は良いものであるのか??

昭和20年から30年の間に、何が起きたのか。
注目に値するものとしては、昭和29年に定められた学校給食法で、給食で牛乳を出すことを国が定めたことがあげられます。

日本では戦後より国やマスコミ主導で「牛乳は身体に良いものである。カルシウム不足を補い、子供の健やかな発達に欠かせないものである」というような刷り込みがされ続けてきました。 私は、牛乳に対しては懐疑的な考えを以前より持っていました。牛乳は身体に良くない。特に女性にとっては乳がんの発症率を増やすという説が広まっていることを知っていましたが、そのことに関してはあまり調べず、本も読んでいませんでした。

今回、アレルギーに関する衛生仮説の検証からはじまり、昭和30年代以降のアレルギーの劇的増加の一要因として牛乳を疑い調査したところ、以下のようなことがわかりました。

牛乳は不自然に高濃度な女性ホルモンを含有している。

女性ホルモンは卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があります。このうち、エストロゲンにはエストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類があります。以下のグラフは、思春期前の男児における牛乳を飲んだ前後の尿中エストロゲン排泄量です。 f:id:shantipapa:20160605145746j:plain Maruyama, K., Oshima, T., & Ohyama, K. (2010). Exposure to exogenous estrogen through intake of commercial milk produced from pregnant cows. Pediatrics International, 52(1), 33–38. より

このグラフからわかるように、牛乳を飲んだ後で、男児における尿中エストロゲン排泄量が高まっていることがわかります。これは現在日本で売られている牛乳には、高い濃度の女性ホルモンが含まれていることによります。

なぜ、牛乳に女性ホルモンが含まれているのでしょう。答えは牛乳の生産性向上の為に、現代の酪農では出産後2〜3ヶ月たつと搾乳中にもかかわらず人工受精で妊娠させるからと言われています。現代の酪農では、生後12〜14ヶ月の雌ウシを人工受精で受精させます。平均280日の妊娠期間を経て出産すると、母ウシはミルクを分泌するようになります。分娩後5日間に分泌される初乳は免疫グロブリンが多く、仔ウシに与えられますが、出産6日以降は人間用に300日、朝夕2回搾乳されます。そして出産2〜3ヶ月経つと搾乳中にもかかわらず、再び人工受精で妊娠させられます。

f:id:shantipapa:20160605152229p:plain 佐藤章夫著:牛乳は子どもによくない, PHP研究所, 2014, p.54 より引用

この表は乳牛の妊娠期間と搾乳期間を示したものです。搾乳器官のほとんどが妊娠期間と重なっていることが示されています。現代の乳牛は遺伝的に改変され、妊娠しながらでも大量のミルクを出します。そして酪農家は年間を通して牛乳生産量が大きく変わらないようにするため、牛を妊娠していない牛・妊娠前期の牛・妊娠中期の牛・妊娠後期の牛の4群にわけて、出産直後の5日間と出産前の2ヶ月(乾乳期)を除き、すべてのウシから人間用に搾乳します。そして得られた牛乳はすべてタンクの中に集められ混ぜ合わせられます。

本来、哺乳類は出産後には女性ホルモンの分泌は低下しますが、現代の酪農では効率を重視するために搾乳中であるのにもかかわらず受精させることが大きな問題となっています。妊娠すると女性ホルモンの分泌が激増します。それはミルクの中にも分泌されるようになります。

牛の女性ホルモン(エストロゲンプロゲステロン)は人間の女性ホルモンと同一であるために、牛乳を飲むことにより女性ホルモンに暴露されることになります。

牛乳は、それ自体がアレルギー(特に遅発型アレルギー)を引き起こしやすい食品であるのに加えて、女性ホルモンによる影響が考えられます。本来少ないはずのエストロゲンの摂取により、男児では体の発育異常、女児では過剰なエストロゲンによる初潮の早期化が懸念されます。 (参考:角田 和彦著:アレルギーっ子の生活百科―環境汚染からみたアレルギーとのつきあい方, 近代出版, 2005 , p. 100)

子供にとっても、不自然な女性ホルモンへの暴露は悪影響が考えられますが、大人にとっての影響ももちろんあるとおもいます。例えば、現代男性の精液中の正常な精子数の減少、女性では乳がんの増加に影響があるように思えます。

とはいっても、牛乳はすでに私達の生活に入り込んでいますし、美味しくもあります。私は牛乳をコーラやジュースなどと同じような嗜好品として考えるようにします。牛乳は体に良いものであり、毎日飲むものであるという考えは捨てました。飲みすぎるとむしろ体に悪いものという考えを元に、時々そのまま味わったり、料理につかったりすることはオッケーととらえています。

カルシウム不足は、問題ないでしょう。カルシウム不足を補うために牛乳が必要というのは、作られた幻想であると思っています。骨粗鬆症予防に一番効果的なのは運動による骨への負荷であり、カルシウム摂取はほとんど関係がないものと思っています。もちろん、きちんとした食事をとっていることが前提ですが。

よって、
「牛乳は高濃度の女性ホルモンを含み、悪影響が大きいので、嗜好品として考える」
ということにします。

内分泌撹乱物質 (環境ホルモン) への対処 特にBPAビスフェノールA)について

牛乳に含まれる女性ホルモンは本当のホルモンですが、それ以外にも注意しなければならないものがあります。その代表的なものが BPA (ビスフェノールA)です。BPAはプラスチック製品(ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂)の原料として使用されている物質です。これらの樹脂で作られた容器などには製造過程で未反応のまま残ったBPAが付着していたり、電子レンジで温める際に容器内の内容物に溶出する可能性があります。BPAは弱いですが女性ホルモンのような働きを示すことが指摘されています。

厚生労働省 医薬食品局審査管理課 化学物質安全対策室 - 食器などのプラスチック製品に含まれるビスフェノールAに関するQ&A

カナダでは低用量でのビスフェノールAの乳幼児(主に18ヶ月未満の)への影響を考慮し、予防的アプローチとして、ポリカーボネート製のほ乳びんの輸入及び販売等を禁止する方針であることを発表しました。

少量のBPAを摂取したからといって、すぐに健康に悪影響がでるということはないと思いますが、低容量のBPAを長期間にわたって摂取した場合にどのような影響がでるかについては、これから徐々に判明してくるものであると思います。

プラスチック製品は、あまりに現代社会に広まりすぎていて、それを完全に避けた生活は不可能であると思われます。ですが悪影響がでる可能性が心配されているならば、それを減らす努力は各自が行えます。そのために今できることとして、我が家ではタッパーなどのプラスチック製品による食品保存を避け、ガラス製の容器に変更しました。

導入したのは、iwaki NEWパック&レンジ という製品です。

注意しなくてはならないのは、必ずフタがブルーの製品を選ぶということです。 製品情報を見てください。

素材・材質:本体/耐熱ガラス、フタ/ポリプロピレン(耐熱温度 140度)

ここで注目すべきは、フタ/ポリプロピレン というところです。この製品は本体はガラス製ですが、フタがプラスチック製です。ポリプロピレンはプラスチック製品の中では安全性が高いものなので、必ずポリプロピレンと表示されているものを選んだ方が良いです。

同じiwaki 社製のガラス容器でもフタがグリーンのものはやめた方がよいです。

この商品情報には、

素材・材質:本体/耐熱ガラス、フタ/ポリカーボネート(耐熱温度140℃)

とあります。ポリカーボネートBPAの溶出がありますので、せっかく家族の健康を考えてガラス容器を導入したとしても、フタがポリカーボネートでしたら、意味がないです。かえって本体もフタもポリプロピレンで作られたタッパー容器などのほうが安全かもしれません。繰り返します。iwaki のパック&レンジBOX (フタが緑色)は、フタがポリカーボネートなのでお勧めしません。必ずNEWパック&レンジ (フタが青色)の製品を選んでください。

参考図書